- 厚生労働省が実施している児童手当は、0歳0カ月~中学校卒業まで支給される。どこに住んでいても支給条件に違いはない。
- 2人目・3人目が欲しいとなっても、経済的な理由から断念している夫婦が多いのも事実。そこで子育て世帯の負担が軽減できるよう、独自の手当や助成金などの支給に注力している自治体が多くある。
- 住宅や住環境のことだけでなく、子育て支援についても事前に調べておくことがポイント。
第六話「チェックしておきたい助成や補助。子育て支援編」

【Iさんファミリー】
Iさんは40代半ばの都心に通うサラリーマン。妻と小学生・幼稚園児の娘二人と海に近い一戸建てで暮らしている。第一子が生まれたタイミングで自然に囲まれたところで子育てをしたいと郊外の駅から徒歩20分の所に注文住宅を建築。通勤時間も我慢のできる範囲と考えていた。しかし、最近は責任のある仕事を任せられることが増え、できれば通勤時間を短縮してその分業務時間にあてたいと思うようになってきている。
申請してもらえる児童手当。いつまでもらえる?
文部科学省が調査した「2016年度子供の学習費調査」によると、幼稚園(3年保育)から高校まで,すべて私立に通った場合は約1,770万円、すべて公立に通った場合は約540万円という結果となっています。また、2018年度の大学等進学者数は約575,000人と、全卒業者数の54.67%を占めています。東京(65.13%)・大阪(59.64%)・愛知(58.08%)は平均以上の結果となっており、都心に住む場合は、大学の進学を見据えて家計を考えていくことが賢明と言えるでしょう。
子どもが生まれたときに、役所で申請すると支給される児童手当。支給期間は0歳0カ月~中学校卒業までですが、居住している自治体から送られてくる現況届を毎年6月末までに提出する必要があります。支給額は子どもの数や年齢によって異なり、年3回それぞれ4カ月分が振り込まれます。
児童手当支給額(1月分)
- ・0〜3歳未満:15,000円/人
- ・3歳〜小学校卒業まで:10,000円/人※第3子以降は15,000円/人
- ・中学生:10,000円/人
※所得制限を超える場合は5,000円/人
東京23区で受けられる制度は意外と多くある
厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2018年の合計特殊出生率※は1.42と3年連続で低下。都道府県別に見てみると東京都が最も低く1.20という結果で、神奈川県や大阪府なども全国平均を下回っています。晩産化や結婚をしない人が増えている点も影響していますが、2人目・3人目が欲しいとなっても、経済的な理由から断念している夫婦が多いのも事実です。
都心に子どもが少ないというのは調査結果にも表れていますが、人口が減り続けてしまっては街の活性化をはかることが難しくなってしまいます。そこで子育て世帯の負担が軽減できるよう、独自の手当や助成金などの支給に注力している自治体が多くあります。ここでは東京23区にスポットをあてて、いくつかピックアップしてみました。
※1人の女性が生涯に産む子どもの数
妊娠・出産
- ・渋谷区は、1回の妊娠・出産ごとに最大100,000円を支給(加入している健康保険から付加給付が支給される場合は、付加給付を控除した金額)。
- ・千代田区は、1回の妊娠・出産ごとに45,000円を支給。
- ・練馬区は、3人目以降は、誕生時に200,000円を支給。18歳までの2人以上の兄姉がいることが条件で、所得制限はなし。
- ・世田谷区は、18歳までの子どもが2人以上いる家庭であれば、3人目以降の出産費用の一部を助成。「出産育児一時金」や「出産に伴うその他の給付金等」の金額を引いた差額分を助成。
- ・中央区は、新生児誕生祝品として、区内共通買物券30,000円分を支給。
- ・都内全域で、14回まで妊婦健康診査費用の一部を助成。
医療費
- ・千代田区は18歳に達した日以後の最初の3月31日まで子供医療費が無料。また北区は入院費に限って、18歳に達した日以後の最初の3月31日まで無料。高校へ進学しているかどうかは関係ないが、親の扶養に入っていない場合は対象外。
- ・千代田区・北区以外の区は中学3年生まで子供医療費が無料。
児童手当など
- ・千代田区は16歳から18歳まで、1人月5,000円の手当を支給。
住宅や住環境のことだけでなく、手当や助成金などについても事前に調べておくのがポイント
都心で住まいを探す場合は、利便性や周辺環境はもちろんのこと、子育て支援に関する取り組みに目を向けるというのもポイントです。今回ご紹介したのは一部になりますので、詳細は各自治体のホームページや窓口、広報紙などでチェックしてみてください。
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2019年10月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。